里芋の美味しい時期になってきましたね。万能の食材ですが、私が一番好きなのは「きぬかつぎ」ですね。
きぬかつぎとは、里芋料理のひとつで、里芋の小芋を皮付きのまま茹でるか蒸したて、切込みを入れた皮を剥いて食べるものです。そのまま白い身に塩か味噌をつけていただきます。
なーんだ、ただの里芋の蒸したものか~、とお思いでしょうが・・
なぜ「きぬかつぎ」などと由緒めいた素敵な名前がついているのかというと、平安時代の高貴な女性は、外出するときに顔まですっぽりと衣をかぶって顔を隠していました。
その様子を、衣(きぬ)を担ぐ=きぬかつぎと言ったそうです。
茶色い皮からのぞく里芋の白さも、高貴な女性の白い肌を連想させますよね。
きぬかつぎと普通の里芋の違いは、料理方法と、食材ということになります。
きぬかつぎは「里芋料理」のひとつです。
里芋は、「食材」の名前。そうなると、「きぬかつぎ」で「きぬかつぎ」を作るという、わけのわからないことになってしまいますので、普通に皮を剥いて茹でただけの里芋ではなく、皮つきのものに切込みを入れ、食べる直前に手で押し出してワンタッチで食べられるところに、きぬかつぎたるゆえんがあります。ただ、最近では蒸しただけの里芋の事をいうこともあります。
酒の肴として供されることが多い、お手軽料理です。
きぬかつぎに使われる品種は、「石川早生(いしかわわせ)」です。
これはきぬかつぎとして食べるのにもっとも適した種類のお芋だからです。「石川早生」は、大阪府南河内郡の石川村(現河南町)がこの芋の原産地とされて、その名前が付けられています。里芋の旬は種類によって異なり、夏が旬のものから、真冬に旬のものまで、様々です。
一番里芋が出回るのは、お正月のおせち料理などの需要がある12月。
旬の種類のものも、秋から冬が多いのですが、きぬかつぎの時期は8~9月頃です。里芋は泥を落とすと鮮度の低下が早いので、もし見かけた際は泥付きでの購入をお勧めします。中秋の名月は毎年日にちが違うのですが、大体9月中にあり、2021年は9月21日(火曜日)、2022年は9月10日(土曜日)になります。
きぬかつぎの作り方は以下の通りです。
- 里芋を水洗いして、まな板に置いた際に座りの良いほうの皮は残し、その反対側を平らに切り落とします
- 蒸気のしっかり上がった蒸し器に、里芋を並べて15~20分ほど蒸します
- その間にたれを作ります
- 鍋に味噌大さじ1と1/2、砂糖大さじ2と1/2、酒大さじ1、みりん大さじ1/2を混ぜ合わせ、少し弱火の中火にかけます。沸いたらヘラで鍋底を混ぜながら2分ほど煮詰めて完成です
- 一番大きな里芋に竹串がすっと通って、芯まで火が通れば里芋の蒸しあがりです
- 器に里芋を、切り落とした白い芋の面が見えるように並べます
里芋の上に、味噌だれをかけます。
塩がお好みな方は、塩を振りごまをのせます。
茹でて作るときは、たっぷりの水にティースプーン山盛り一杯加えて、里芋を茹でます。
こちらも竹串がすっと刺さるようになったら、出来上がりです。
きぬかつぎは、千葉県の市川市の名物料理です。
千葉県市川市にある中川法華経寺参道の名物です。
こちらでは、塩又は醤油をかけて食べます。
参道の茶店に、里芋を皮のまま茹でた状態で販売されています。
親芋、小芋、孫芋と親を中心にたくさんの芋ができる里芋は子孫繁栄の縁起物なのです。
里芋のきぬかつぎとは?由来や里芋との違いも解説!についてはご参考になったでしょうか。日本人ともなじみ深い、里芋。